【滅亡の焔】 「なぜ重衡は、囚人なのに、周囲の人に親切にしてもらえるの?」①

【平家物語~語りと弦で聴く~滅亡の(ほのお)】の公演(2021/10/28,29 )まであと2週間となりました。今回のプログラムの、人間の主役、平重衡(しげひら)(もうひとりの主役は奈良の大仏さま?)を何回かに分けてとりあげます。テーマは、「なぜ重衡は、囚人なのに、周囲の人に親切にしてもらえるの?」

「奈良を焼き滅ぼした平重衡は極悪人」般若寺、東大寺、興福寺、今の奈良を巡ってみると、これらの伽藍や仏像のほとんどが、一夜のうちに焼けてしまったんだ…と、ことの重大さに言葉を失います。重衡は、大将軍として四万騎を率いて奈良に出陣。夜になり、般若寺(はんにゃじ)の門の前で「火を出せ」と命じます。あたりの民家に放たれた火は、たちまち燃え広がり、東大寺の大仏も興福寺の伽藍も焼け落ちました。また東大寺大仏殿や興福寺の建物の二階に逃げ込んだ非戦闘員の人々三千五百人余りが焼け死にました。

 重衡は、この時どんな気持ちで燃えさかる焔を見ていたのでしょうか。『平家物語』には書かれていません。――つまり自由に想像していいってこと。公演を見ながら考えてみませんか。(つづく)

公演の詳細は→金子あい公式ページ

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