〈平家物語~語りと弦で聴く~滅亡の焔 2021/10/28・29〉。今回のプログラムの、人間の主役、平重衡(しげひら) は、奈良を焼き滅ぼした平家軍の指揮官(大将軍)、極悪人といわれているけれど…。
重衡は鎌倉に護送され、源頼朝(兵衛佐)と対面。頼朝は、狩野介宗茂に丁重にもてなすよう指示します。狩野介が湯殿を用意したので、重衡は、風呂でさっぱりさせてから殺すつもりだなと思いますが、さにあらず。
「よはひ二十ばかりなる女房の、色白うきよげにて、まことに優にうつくしきが、目結の帷に染付の湯巻して、湯殿の戸を押し開けて参りたり」
――色白の美女が絞り染めの単衣の腰に藍染の布を巻いた姿で湯殿に入ってきました。(十二単衣や袿に比べると超薄着!)
千手前の登場です。お風呂でさっぱりしたあとは宴会です。重衡と千手前は琵琶と琴を奏で、朗詠します。頼朝も立ち聞きしていたとか。翌朝、頼朝は千手前に、自分がふたりの仲人をしてやったぞといいます。(「千手前」)
さて、壇ノ浦の戦いで生け捕りにされた宗盛も、重衡の1年後に鎌倉に行きますが、頼朝は使者に言葉を伝えさせるだけで、直接は対面しません。重衡の待遇とは大違いでした。(つづく)
公演の詳細は→金子あい公式ページ